ポンプの計算ツール
ポンプ揚程・動力・NPSHa 計算
計算の入力欄へ ↓使い方・よくある質問吸込・吐出条件から遠心ポンプの全揚程・水動力・軸動力・電動機所要動力を計算し、参考となる標準電動機容量を表示します。あわせて NPSHa を計算し、NPSHr を入力した場合は差と比率を表示します。必要マージンはメーカー条件で別途確認します。
- 主な入力
- 流量、吸込・吐出圧力、高低差、効率
- 主な結果
- 全揚程、軸動力、標準電動機、NPSHa
- 適用範囲
- 非圧縮性の単相液体を扱う遠心ポンプの定常運転が対象です。採用時はメーカー性能曲線と自社基準で確認してください。
公開日: 最終更新: 作成・保守: PlantCalc 運営計算・掲載内容の検証方針
計算結果。全揚程 42.932 メートル。参考標準電動機 11 キロワット。
入力条件
結果を見る入力欄には操作確認用の代表値を表示しています。 実際の条件に置き換えてください。必須欄は空欄にせず、ゼロの場合は 0 を入力します。結果は自動で更新されます。
表示温度・組成の概略値です。条件を変更する場合はカスタム入力を選んでください。 物性値・濃度基準・出典を確認
圧力・高さ・損失の入力位置
容器間の移送液面がポンプより上にある配置の例です。青い矢印は流れの向きを示します。
- P1・P2 容器圧力 [kPaG]
- 液面上の気相圧力です。大気開放なら 0 を入力します。
- z1・z2 液面高さ [m]
- ポンプ基準より上なら正、同じなら 0、下なら負の値です。
- hf1・hf2 配管損失 [kPa]
- 各容器とポンプの間の摩擦・継手損失です。高低差は含めず、0 以上で入力します。
吸込側 (1)
吐出側 (2)
高低差の二重計上に注意: 配管損失 hf1・hf2 は 配管圧力損失 計算 で求めた値を入力できます。入れるのは摩擦+継手の損失のみです (リンク先の内訳 「損失水頭 (摩擦+継手)」[m] を単位「m液柱」で転記)。合計 ΔP には高低差の項が含まれるため、そのまま入力すると z1・z2 と二重計上になります。
計算結果
入力へ戻る全揚程の内訳
- 圧力差 (P2−P1)/(ρg)
- 20.431 m
- 実揚程 z2−z1
- 13.000 m
- 配管損失 (hf1+hf2)/(ρg)
- 9.500 m
- 全揚程 H
- 42.932 m
動力
- 水動力 Pw
- 5.837 kW
- 軸動力 Pw/η (η=0.65)
- 8.980 kW
- 電動機所要 (余裕率込み)
- 10.327 kW
- 参考標準電動機
- 11 kW
NPSHa (有効吸込ヘッド)
- 圧力頭 (Patm+P1)/(ρg)
- 10.351 m
- 蒸気圧頭 −Pv/(ρg)
- −0.239 m
- 液面高さ +z1
- 2.000 m
- 吸込損失 −hf1/(ρg)
- −0.511 m
- NPSHa
- 11.601 m
NPSHr が未入力です
運転流量でのメーカー性能曲線から NPSHr を入力すると、差と比率を表示します。差が正でも必要マージンを満たすとは限りません。
標準電動機系列 [kW]: 0.2 / 0.4 / 0.75 / 1.5 / 2.2 / 3.7 / 5.5 / 7.5 / 11 / 15 / 18.5 / 22 / 30 / 37 / 45 / 55 / 75 / 90 / 110 / 132 / 160 / 200
検算済みの代表条件
再現できる計算例
- 入力条件
- 20℃の水を 50 m³/h で移送し、容器圧力は吸込 0 kPaG、吐出 200 kPaG、 液面高さは 2 m → 15 m、配管損失は 5 + 88 kPa とします。効率0.65、電動機余裕率1.15、 NPSHrは検算用の仮定値として 6 m を入力します。 実務では運転流量でのメーカー性能曲線の値へ置き換えてください。
- 計算結果
- 全揚程 42.93 m / 水動力 5.84 kW / 電動機所要 10.33 kW / 参考標準容量 11 kW / NPSHa 11.60 m
- 検算ポイント
- 全揚程は圧力差 20.43 m、実揚程 13.00 m、配管損失 9.50 m の合計です。 NPSHa−NPSHrは 5.60 m ですが、 採否はメーカー性能曲線と用途別NPSHマージン基準で別途確認します。
表示値は読みやすい桁数に丸めています。代表値、境界値、単位換算、無効入力は公開前の 回帰テストで確認しています。詳しくは 検証・訂正方針をご覧ください。
配管損失の転記で、高低差を二重に足さない
上の条件では、摩擦・継手損失は 9.500 m液柱、実揚程は 13 m です。 圧損ツールの「合計(高低差込み)」 22.500 m液柱 を配管損失欄に転記し、 さらに液面高さ 2 → 15 m を入力すると、全揚程は 55.932 m となります。 正しい 42.932 m より 13 m 大きくなるので、転記するのは「損失水頭(摩擦+継手)」です。
検算:重複入力のH − 正しいH = (z2 − z1) = 15 − 2 = 13 m
計算結果の読み方
効率が上がると、必要揚程も下がる?
比較する条件
上の検算例で、ポンプ効率だけを 65% → 75% に変えます。 流量、密度、容器圧力、液面高さ、配管損失、電動機余裕率はすべて同じです。 両方の効率は比較用の仮定値であり、製品の性能値ではありません。
| 項目 | 効率65% | 効率75% |
|---|---|---|
| 必要全揚程 | 42.93 m | 42.93 m |
| 水動力 | 5.837 kW | 5.837 kW |
| ポンプ軸動力 | 8.980 kW | 7.783 kW |
| 電動機所要(余裕率込) | 10.327 kW | 8.950 kW |
| 参考標準電動機容量 | 11 kW | 11 kW |
表は横にスクロールして比較できます。
結果から読み取れること
必要全揚程は効率を変えても 42.93 m のままです。 一方、効率75%の軸動力は約 13.3%小さくなります。この例では所要動力が下がっても、参考標準電動機容量はどちらも 11 kW です。 必要揚程、運転時の動力、電動機の定格容量を読み分けることが大切です。
誤解しやすい点と適用条件
効率の入力を変えるだけで、実際のポンプ性能が改善されるわけではありません。 同じ流量と揚程を満たすか、メーカー性能曲線の運転点で効率・軸動力・NPSHrを確認します。 「電動機所要」は選定用の機械出力で、電気入力や電気料金ではありません。 電動機効率と駆動損失はこの計算に含めていません。
手計算で確かめる
H = (200 + 5 + 88)×1000/(998.2×9.80665) + (15−2) = 42.93156 m
Pw = 998.2×9.80665×(50/3600)×H/1000 = 5.836902 kW
軸動力 = Pw/η、電動機所要 = 軸動力×1.15
軸動力の低減率 = 1 − 0.65/0.75 ≈ 13.3%
水動力が一定なので、効率で割るところだけが変わります。 下記出典のHydraulic Institute「Pump Curves」式1.B.3、1.B.5でもこの関係を確認できます。
この表は固定条件の解説で、計算機の入力とは連動しません。表示は丸めていますが、 比較率は丸め前の値から求めています。実設備の採否を保証するものではありません。
ポンプ揚程・動力・NPSHa の計算式
1. 計算の考え方
ポンプが流体に与えるべきエネルギー (全揚程 H) は、吸込側と吐出側のあいだの 次の 3 つの差の合計です。
- 圧力差 — 吐出先と吸込元の容器圧力の差を液柱高さに換算したもの。
- 実揚程 — 液面の高低差 z2 − z1。純粋に持ち上げる高さです。
- 配管損失 — 吸込・吐出配管の圧力損失の合計を液柱高さに換算したもの。
動力は、全揚程から水動力 → 軸動力 (ポンプ効率で割る) → 電動機所要動力 (余裕率を掛ける) の順に求め、標準電動機系列から「所要以上で最小」の容量を選定します。 NPSHa (有効吸込ヘッド) は、吸込側でキャビテーションに対して使える圧力余裕で、 ポンプ固有の必要値 NPSHr を上回っている必要があります。
2. 使用する式
- 全揚程
- H = 1000·(P2 − P1) / (ρg) + (z2 − z1) + 1000·(hf1 + hf2) / (ρg)
- P1・P2 はゲージ圧のまま差を取ります。圧力 [kPa] を水頭 [m] に直す係数は 1000/(ρg) です。
- 動力と電動機選定
- 水動力 Pw = ρ · g · Q · H / 1000 [kW]
軸動力 Ps = Pw / η 電動機所要 Pm = Ps × 余裕率 - 標準電動機は Pm 以上で最小の容量を標準系列 (0.2〜200 kW。37 kW までは JIS C 4210、45 kW 以上はメーカー標準) から選びます。
- NPSHa
- NPSHa = 1000·(Patm + P1 − Pv) / (ρg) + z1 − 1000·hf1 / (ρg)
- Patm は大気圧 (絶対圧)、P1 は吸込容器のゲージ圧、Pv は液温での飽和蒸気圧 (絶対圧)。z1 は液面がポンプより下 (吸上げ) のとき負になります。
- NPSHa と NPSHr の数値比較
表示 条件 比較を保留 NPSHr 未入力 NPSHa が NPSHr 以下 差 ≤ 0 差は正:必要マージンを確認 差 > 0 - 差 = NPSHa − NPSHr [m]、比率 = NPSHa / NPSHr [−]。この表示は大小関係だけを示します。 Hydraulic Institute は、NPSHr を上回ってもキャビテーションや振動が起こり得ると説明しています。 NPSH3 はキャビテーションによって全揚程(多段ポンプでは初段揚程)が3%低下する条件の値です。 性能曲線の NPSHr の定義を確認し、用途別の必要マージンを ANSI/HI 9.6.1 とメーカー条件で照合してください。
3. 記号と単位
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| H | 全揚程 | m |
| Q | 体積流量 | m³/s |
| ρ | 密度 | kg/m³ |
| P1, P2 | 吸込・吐出容器の圧力 (ゲージ) | kPaG |
| z1, z2 | 吸込・吐出の液面高さ (ポンプ基準) | m |
| hf1, hf2 | 吸込・吐出配管の圧力損失 | kPa |
| Patm | 大気圧 (絶対) | kPaA |
| Pv | 液温での飽和蒸気圧 (絶対) | kPaA |
| η | ポンプ効率 | — |
| g | 重力加速度 9.80665 | m/s² |
4. 入力値の目安
- 流体プリセット — 表示温度・濃度で丸めた概略値です。 密度と蒸気圧は実際の運転条件に合わせ、SDS・メーカー物性表・自社データへ置き換えてください。
- ポンプ効率 η — 採用ポンプの運転流量・回転数・羽根車径に対応する性能曲線の値を使います。 初期値の0.65と比較例の0.75は操作・検算用の仮定値で、規模別の推奨値ではありません。
- 電動機余裕率 — 初期値の1.15は検算用の仮定値です。 一律の標準倍率ではありません。想定運転範囲のポンプ軸動力、液の条件、電動機仕様を確認し、メーカー・プロジェクトの選定基準で決めてください。
- 配管損失 hf1・hf2 — 配管圧力損失 計算 で求められます。入力するのは直管摩擦と継手の損失のみで、高低差の項 (ρ·g·Δz) は含めません — 高低差は z1・z2 で別に計上します。圧損ツールの内訳「損失水頭 (摩擦+継手)」[m] を単位「m液柱」で転記すると確実です。吸込側 hf1 は NPSHa を直接減らすので、吸込配管は太く短くが原則です。
- NPSHr — ポンプメーカーの性能曲線に記載された値を 使います (運転流量での値)。
- 蒸気圧 Pv — 液温で大きく変わります。高温液 (温水・凝縮水) は Pv が大きく NPSHa が急減するため、特に注意が必要です。水の飽和圧力は 飽和蒸気表でも確認できます。
5. 適用範囲と注意点
- 非圧縮性の単相液体・定常運転が対象です。二相流・スラリーは対象外です。
- 液の粘度はポンプの流量・揚程・効率・所要動力に影響します。本ツールは粘度によるポンプ性能の補正を行いません。 水以外の性能は、メーカー資料やANSI/HI 9.6.7の適用条件に沿って確認し、対応する効率を入力してください。
- 速度水頭差 (v2²−v1²)/(2g) は容器間の移送では通常小さいため無視しています。 ノズル直結など流速差が大きい系では別途考慮してください。
- NPSH は差と比率だけを表示し、必要マージンを判定しません。最終確認はポンプ形式・流体に応じた基準 (ANSI/HI 9.6.1 等) とメーカー確認によります。
6. 出典
- JIS B 8301 — 遠心ポンプ性能試験方法 (揚程・動力の定義)
- Hydraulic Institute, Pump Curves(2024年7月19日更新) — Efficiency Curveの式1.B.3、Pump Input Power Curveの式1.B.5。 ポンプ効率・水動力・ポンプ入力動力の関係と、運転流量で性能曲線を確認する考え方。 初期値の効率0.65・電動機余裕率1.15を同資料が推奨しているという意味ではありません。 粘度による性能への影響とANSI/HI 9.6.7への案内は同ページのTutorialを参照してください
- Hydraulic Institute, Pump Principles — NPSHa、NPSHr、キャビテーションの定義と公開式
- ANSI/HI 9.6.1-2024 — Rotodynamic Pumps—Guideline for NPSH Margin — 用途別の必要NPSHマージン検討。サイトでは規格の用途別しきい値を自動判定しません
- JIS C 4210 — 一般用低圧三相かご形誘導電動機 (標準出力系列は 0.2〜37 kW。45 kW 以上はメーカー標準系列)
- 機械工学便覧 / ポンプ便覧 — 全揚程・動力計算の標準式
流体物性値の条件と出典
質量%は「溶質の質量 ÷ 水溶液全体の質量 × 100」です。体積%とは異なります。 例えばEG 30質量%はEG 30 kgと水70 kgの組成で、30 Lと70 Lの混合を意味しません。 市販の不凍液・ブラインは添加剤や濃度表示が異なるため、同じ数値でもそのまま置き換えないでください。
資料照合日: 。 表の値は入力欄と同じデータから表示しています。実測値・製品保証値ではありません。蒸気圧は絶対圧です。未確認の蒸気圧を0としてNPSHaを計算しないでください。
| 流体・条件 | 密度 kg/m³ | 粘度 mPa·s | 蒸気圧 kPaA | 根拠・算出方法 |
|---|---|---|---|---|
| 水 20℃純水・表示温度の飽和液体 | 998.2 | 1.002 | 2.34 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — 水の飽和物性表(20〜100℃、20℃刻み) NISTの液相密度・粘度と飽和圧力を丸めた値。高圧での密度変化は含めません。 |
| 水 40℃純水・表示温度の飽和液体 | 992.2 | 0.653 | 7.38 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — 水の飽和物性表(20〜100℃、20℃刻み) NISTの液相密度・粘度と飽和圧力を丸めた値。高圧での密度変化は含めません。 |
| 水 60℃純水・表示温度の飽和液体 | 983.2 | 0.466 | 19.95 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — 水の飽和物性表(20〜100℃、20℃刻み) NISTの液相密度・粘度と飽和圧力を丸めた値。高圧での密度変化は含めません。 |
| 水 80℃純水・表示温度の飽和液体 | 971.8 | 0.354 | 47.41 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — 水の飽和物性表(20〜100℃、20℃刻み) NISTの液相密度・粘度と飽和圧力を丸めた値。高圧での密度変化は含めません。 |
| 水 100℃純水・表示温度の飽和液体 | 958.3 | 0.282 | 101.42 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — 水の飽和物性表(20〜100℃、20℃刻み) NISTの液相密度・粘度と飽和圧力を丸めた値。高圧での密度変化は含めません。 |
| エチレングリコール 30質量% (20℃)EG 30質量%・水70質量%・20℃(添加剤なし) | 1039 | 2.15 | 要入力 | MEGlobal, Ethylene Glycol Product Guide(2024), pp.18・28, Fig.7・17 密度: Fig.17、粘度: Fig.7から温度補間した概算値。30質量%の蒸気圧係数は掲載がないため手入力。 |
| エチレングリコール 50質量% (20℃)EG 50質量%・水50質量%・20℃(添加剤なし) | 1064 | 3.83 | 1.8 | MEGlobal, Ethylene Glycol Product Guide(2024), pp.17・18・28, Fig.6・7・17 密度: Fig.17、粘度: Fig.7から温度補間した概算値。蒸気圧: Fig.6の50質量% Antoine係数で計算。 |
| 塩化カルシウム 25質量% ブライン (−10℃)無水CaCl₂換算25質量%・水75質量%・−10℃ | 要入力 | 6.32 | 要入力 | OxyChem, Calcium Chloride Handbook(September 2026), p.23, Table 4 粘度: Table 4の25質量%・−10℃列の6.32 cP。密度・蒸気圧はこの条件の根拠未確認のため手入力。25℃の密度表は転用しません。 |
| メタノール (純物質・20℃)メタノールの純物質・20℃の飽和液体(混合溶剤・水溶液には適用しません) | 790.9 | 0.585 | 13.03 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — メタノールの20℃飽和物性表 NISTの液相密度を小数1桁、液相粘度を小数3桁、飽和圧力をkPaAに換算して小数2桁に丸めた値。高圧での物性変化は含めません。 |
| ベンゼン (純物質・20℃)ベンゼンの純物質・20℃の飽和液体(混合溶剤・水溶液には適用しません) | 878.8 | 0.647 | 10.03 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — ベンゼンの20℃飽和物性表 NISTの液相密度を小数1桁、液相粘度を小数3桁、飽和圧力をkPaAに換算して小数2桁に丸めた値。高圧での物性変化は含めません。 |
| トルエン (純物質・20℃)トルエンの純物質・20℃の飽和液体(混合溶剤・水溶液には適用しません) | 866.8 | 0.587 | 2.92 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — トルエンの20℃飽和物性表 NISTの液相密度を小数1桁、液相粘度を小数3桁、飽和圧力をkPaAに換算して小数2桁に丸めた値。高圧での物性変化は含めません。 |
| n-ヘキサン (純物質・20℃)n-ヘキサンの純物質・20℃の飽和液体(混合溶剤・水溶液には適用しません) | 659.3 | 0.313 | 16.16 | NIST Chemistry WebBook, SRD 69 — n-ヘキサンの20℃飽和物性表 NISTの液相密度を小数1桁、液相粘度を小数3桁、飽和圧力をkPaAに換算して小数2桁に丸めた値。高圧での物性変化は含めません。 |
丸め・補間の方法と検算条件
水はNISTの飽和物性表の液相(l)列を使用し、密度を小数1桁、粘度を小数3桁、蒸気圧をkPaへ換算して小数2桁に丸めています。飽和状態を基準にした概略値で、高圧の圧縮液には別の物性値が必要です。100℃の水の蒸気圧は101.42 kPaAで、標準大気圧101.325 kPaとは一致しません。
メタノール・ベンゼン・トルエン・n-ヘキサンもNISTの20℃飽和物性表を使用し、水と同じ桁数で丸めています。密度・粘度は液相(l)列で、蒸気相(v)列ではありません。含水品・市販の混合溶剤・別温度にはそのまま使わず、カスタム入力で運転条件の値へ変更してください。
EGは20℃ = 68°F。原資料の50°Fと100°Fの値から、補間割合 (68−50)/(100−50) = 0.36 を使います。この温度補間はPlantCalcの概算方法であり、メーカーが20℃の保証値を示したものではありません。
密度: S = A + Bx + Cx²(x: EG質量%)。Fig.17で求めた比重Sを線形補間し、60°Fの水の密度の丸め値999.0 kg/m³を掛け、整数に丸めます。30質量% → 1039、50質量% → 1064 kg/m³。
粘度: L = log₁₀(μ) = A − B/(x + C)。Fig.7で求めたLを線形補間して μ = 10ᴸ に戻し、小数2桁に丸めます。30質量% → 2.15、50質量% → 3.83 mPa·s。
EG 50質量%の蒸気圧: 10^[7.901886 − 1691.452/(20 + 229.778)] × 0.133322368 = 1.79874 kPaA → 1.80 kPaA。Fig.6のmmHgをkPaへ換算。30質量%の係数はないため濃度方向に推測・補間しません。
塩化カルシウムの粘度は原表の6.32 cPをそのまま使用します(1 cP = 1 mPa·s)。これは動粘度(mm²/s)ではありません。密度表Table 3bは25℃であり、−10℃の密度としては採用していません。
「物性は手入力」と表示される流体は、以前の概略値に対応する原典と条件を確認できないため自動入力を停止しています。 流体の選択肢は残しています。使用する製品の温度、純度、濃度の定義を確認し、必要な物性値を手入力してください。 資料に値がない場合は推測で埋めず、メーカーへ確認してください。
使い方とよくある質問
入力から結果を確認するまで
- 供給側と受入側の計算境界を決め、両側の圧力・液面高さと必要流量をそろえます。圧力欄にはゲージ圧を入力し、液面高さはポンプ中心を基準にしてください。
- 吸込側・吐出側それぞれの摩擦・継手損失、流体密度、ポンプ効率を入力します。NPSHaを調べるときは大気圧、使用温度での蒸気圧、吸込側の液面高さも確認します。
- 全揚程の内訳、軸動力、電動機の参考容量を読みます。NPSHaは運転流量でのメーカーNPSHrと比較し、必要なマージンや性能曲線を確認します。
入力・結果で迷ったとき
- ポンプ効率を上げると、必要揚程も下がりますか?
- 必要揚程は圧力差・高低差・配管損失で決まります。同じ流量と系統条件なら、効率を変えても必要揚程は変わらず、必要な軸動力が変わります。実機ではその運転点の効率を性能曲線から読み取ります。
- NPSHaがNPSHr以上なら、選定を確定できますか?
- 数値を比較するだけでは確定できません。NPSHaは系統側、NPSHrはポンプ側の条件です。メーカーが指定する必要マージン、最低液位、最高液温、吸込損失の増加などを確認してください。表示される差や比率は比較用です。
- 配管損失へ高低差を含めてもよいですか?
- 液面高さを入力する場合、損失欄には摩擦・継手による損失だけを入れます。圧損ツールの合計値から転記すると高低差を二重計上することがあります。単位と吸込・吐出の経路を確認してください。